上町台地とその周辺低地の陰影図
https://www.occpa.or.jp/kenkyu/kaken/kaken_UE_pdf/UE_04_uemachi.pdf
要旨
本稿は本書掲載の古地理図を作成するにあたって、難波砂州北部~天満砂州南端部地域の作成根拠とした表層地質の覚え書である。表層地質は埋蔵文化財の発掘結果から抽出し、柱状図で表現した。
弥生後期・古墳後期・古代・中世後期・豊臣後期の各時期の地層面を対比線で結び、特徴となる地形を明記するとともに、恵美須遺跡付近の変遷史断面図を例示した。
上町台地およびその周辺の植生史
原始・古代の大阪湾岸における集落と都市
杉本厚典
要旨
弥生時代から奈良時代までの摂津・河内・和泉地域の手工業生産、農業生産、集落分布の概況を描き、
上町台地北端部で都市が成立する前提を検討した。手工業生産は古墳時代中期において分散的な在り
方を示すが、古墳時代後期から飛鳥時代にかけて上町台地北端部に集中するようになり、奈良時代に
は小地域ごとに核が生まれることを示した。集落分布は、弥生時代後期から古墳時代中期にかけて河
内湖沿岸と旧大和川水系に分布密度が著しいが、古墳時代後期から飛鳥時代にかけてそれらの集落は
衰退し、新たに瓜破台地・羽曳野丘陵へと集落分布が拡がる。上町台地北端部の拠点化は 5 世紀から
始まり、河内湖沿岸に展開する諸集落の中心として機能していたが、6 世紀から 7 世紀前葉にかけて
大阪湾岸の手工業生産、流通・外交の拠点となり、このような諸条件が難波宮造営の背景と考えた。
5 世紀前半 、5 世紀後半
6 世紀前半 、6 世紀後半
図 1 鉄器生産の遺跡の分布(その 1)
図 2 弥生時代後期の集落分布
図 3 古墳時代前期の集落分布
図 4 5 世紀の集落分布
図 5 6 世紀後葉の集落分布
図 6 6 世紀末~ 7 世紀前葉の集落分布
図 7 7 世紀中葉の集落分布