出所:勝間和代オフィシャルメールマガジン 〔*〕
行動経済学という学問分野があります。行動経済学とは、これまでの伝統的な経済学に、心理学の要素を加えて、人間は必ずしも合理的ではない行動をとることについて分析をする学問です。私も学会に所属しており、いろいろと活動をさせていいだいています。
そして、行動経済学で最も有名な学者はダニエル・カーネマンさんで、ノーベル経済学賞も取りました。
そのカーネマン氏の最新作が「ファスト&スロー」という著作で、全世界でよく売れています。
ファストというのは、システム1と呼んでいますが、感情的で即座に行われる判断、
スローというのは、システム2と呼んでいますが、理性的で時間をかけて行われる判断です。
この本の中で、私が好きなのは
「WYSIATI - What You See Is All There Is」
という、人間のバイアスを説明した言葉です。まぁ、平たく言うと、前からよくメルマガでも書いている「バカの壁」の正体ですね。
日本語にすると「あなたのみたものがあなたのもとの全て!!」といったところでしょうか。
要は、これまで私たちが経験していないこと、見ていないこと、考えていないことについては、
特に「システム1」さんはまったく想像もできないし、考えることもできない、ということなんです。
さらにやっかいなことに、システム2を使うのは、労力がかかるため、私たちにはある意味
「不快」
な作業なんだそうで、なるべく、システム2を使わないように、使わないように、私たちは生きるわけです。
なので、私たちは冷静に、公平に、あるいは第三者的な視点で、なんて思っていても、その正体は
「WYSIATI - What You See Is All There Is」
なので、すべての、すべての、物事の見方には必ず、どんな人でもバイアスがかかっているということですね。
ただ、大事なのは、このバイアスがあるということを知っていて言動を行うのか、知らずにそれでも自分が完全なように行動するのかで、周りからの見え方が変わってくるのかと思います。
「WYSIATI - What You See Is All There Is」