判決言い渡しは6月18日で、2020年の河井夫妻の逮捕の日と同じだ。現状では実刑は免れないとみられているが、「起訴内容の大半を認め、自らの行動を謝罪し、衆院議員も辞職したことで、執行猶予の可能性も出てきた」(司法関係者)との見方もある。
もし、判決で執行猶予となれば、意見陳述で「どうか一刻も早く、ふるさとの土を踏ませていただき、有権者の皆様に謝罪をさせていただきたい」と涙まじりに訴えた克行被告は控訴しない可能性が大きい。その場合、捜査当局が自民党本部から押収した資金支出に関する書類も早期に返還されることになる。
二階氏らはこれまで、「書類が戻れば公認会計士などのチェックを受けて、1億5000万円の使途についてもきちんと説明する」と繰り返してきた。しかし、党内には「結局、誰が決裁したかはあいまいにしたまま幕引きを図る魂胆では」(閣僚経験者)と勘繰る向きが多い。
「政局絡みでの責任のなすりつけあい」にみえる今回の騒動は、「安倍・菅政権特有のおごりと隠蔽体質」(首相経験者)を浮き彫りにしたことは間違いない。「次期衆院選勝利による疑惑帳消しを狙っても、かえって有権者から厳しいしっぺ返しにつながる」(自民長老)と、自民党内の不安は広がるばかりだ。