河井案里元参院議員の巨額買収事件の買収原資とも指摘されている自民党本部からの1億5000万円について、二階俊博幹事長の「関与していない」発言が大炎上している。 「相場の10倍」(自民選対)とされる巨額の選挙資金が幹事長の決裁もなく支出されたとすれば、そのずさんさは国民の税金から政党助成金を受け取る公党としての資格も問われかねない。 しかも、選挙資金支出の決裁に関わる立場だった当時の安倍晋三総裁(前首相)や甘利明選対委員長(党税調会長)も、そろって関与を否定している。このため、自民党内でも「党本部はまるで伏魔殿」(若手)との声が噴出し、コロナ対応で求心力低下が際立つ菅義偉首相にとっても「政権を揺さぶる悪材料となる」(閣僚経験者)ことは不可避の状況だ。
沈静化に追い込まれた二階陣営
18日に林氏が「根掘り葉掘り、党の内部のことまで踏み込まないでもらいたい」と記者団を牽制したのも、そうした党内の不穏な空気を意識したものとみられている。ただ、「その対応自体が火に油を注ぎ、国民の疑惑も拡大させるだけ」との批判も広がる。
こうした状況に二階氏サイドも沈静化に乗り出さざるをえず、林氏は18日に甘利氏に電話で「他意はなかった」と陳謝した。二階氏も事態の展開を見極めたうえで、週明けの24日の会見の際に、改めて党本部の対応を説明する構えだ。