第1回 中国史の見方
中国は膨大な人口、広大な国土、多様な地域性、複雑な民族構成、そして長い歴史をもつ国である。そのためにひとくちに中国史といってもさまざまなとらえ方がある。本章ではそれらを見ていくことで、中国史には多様な見方があること、中国史が多元的であることを理解する。中国史には中国人の民族史としての側面と諸民族の歴史の舞台としての側面があり、この二つの視点をもつことが中国史を理解するうえで重要であることを理解する。
【キーワード】
皇帝、天下、禅譲、『資治通鑑』、時代区分、東アジア、冊封体制、東部ユーラシア
担当講師:佐川 英治(東京大学大学院教授)
第2回 中国王朝の誕生
東部ユーラシアの多様な風土のなかで新石器時代の文化が生まれて発展し、やがてそのなかで黄河中流域が中心地となって王朝が誕生する。中国の文明はどのような風土のなかで生まれてきたのか、そうして黄河中流域に王朝はどのようにして誕生したのかを理解する。
【キーワード】
黄河、長江、新石器文化、二里頭文化、殷王朝、周王朝、春秋・戦国時代
紀元前3世紀の終わり頃の東部ユーラシアではほぼ時を同じくして農民を基盤とする秦漢帝国と騎馬遊牧民を基盤とする匈奴帝国が生まれた。そして秦の天下統一と崩壊、漢の興起と匈奴との戦いなどを通じてしだいに今日の漢民族意識の淵源となる漢人の意識が形成されていった。中国の統合がどのようにして進み、漢人の意識がどのようにして形成されていったのかを理解する。
【キーワード】
華夏意識、始皇帝、焚書、匈奴、漢の武帝、司馬遷、『史記』、儒教