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第13回 量子力学と特殊相対性理論 @ 量子と統計の物理(’15)

量子と統計の物理(’15)

第13回 量子力学特殊相対性理論 

量子と統計の物理(’15)

 

Quantum and Statistical Physics ('15)

主任講師名:米谷 民明(東京大学名誉教授)、岸根 順一郎(放送大学教授)

【講義概要】
量子力学の基礎と応用、統計物理の基礎と応用を扱う。量子論による原子、分子、凝縮系、原子核素粒子の取り扱いへの入門として位置づけられる。

【授業の目標】
放送大学共通科目「物理の世界」で物理学全般についての基礎知識を概論的に学んだ上で、さらに物理学専門科目「力と運動の物理」および「場と時間空間の物理」を履修した学生が、量子力学統計力学について学部レベルでの専門的な知識と運用力を身につけることができるように構成する。

【履修上の留意点】
物理学の専門科目としては、「力と運動の物理」(2019年度開設、おもに古典力学を扱う)、「場と時間空間の物理」(2020年度開設、主に古典電磁気学相対性理論を扱う)の2科目と併せて、量子物理学および熱統計力学を扱う本科目が3本柱の役割を果たす。本科目は古典物理学の専門的知識を十分に持つ者を対象とするので、履修者はこれらの専門科目をすでに履修しているのと同等以上の知識が必要。数学に関しては、放送大学導入科目以上のレベルの知識と運用力が必須である。特に線型代数微分方程式に関して数学専門科目(「非ユークリッド幾何と時空」「微分方程式」)のいくつかをすでに履修しているか、同時に履修することが望ましい。

各回のテーマと授業内容

第1回 量子と統計の世界


「量子と統計」の物理学における位置づけ、熱統計の基礎的な考え方を整理した後、熱放射の問題に応用し、量子論への手掛かりへ進む。

【キーワード】
熱力学、エントロピー、ボルツマンの原理、黒体放射、プランク定数

執筆担当講師名:米谷 民明(東京大学名誉教授)
放送担当講師名:米谷 民明(東京大学名誉教授)

第2回 シュレーディンガー方程式


量子の意味をさらに追求し、古典力学を乗り越えて量子力学の考え方に飛躍する。量子論の状態を支配する法則としてのシュレーディンガー方程式の考え方の基礎に進む。

【キーワード】
光量子仮説、物質波仮説、位相波、シュレーディンガー方程式

執筆担当講師名:米谷 民明(東京大学名誉教授)
放送担当講師名:米谷 民明(東京大学名誉教授)

第3回 状態関数と確率


状態関数の意味についてさらに追求し、波束、不確定性を議論し量子力学から導かれる特徴的な現象の具体例を主に1次元で調べる。

【キーワード】
波束、確率保存、2重スリット実験、ハイゼンベルク方程式調和振動子、生成消滅演算子

執筆担当講師名:米谷 民明(東京大学名誉教授)
放送担当講師名:米谷 民明(東京大学名誉教授)

第4回 量子力学の枠組みと展開 I


量子力学の一般的枠組みを整理し、不確定性関係を導く。さらなる展開としてディラックのブラ・ケット記号により状態空間の扱いを整理し、時間発展を古典的経路の重ね合わせとして表す経路積分の初歩へ進む。

【キーワード】
不確定性関係、パウリ行列、ディラックのブラ・ケット、経路積分

執筆担当講師名:米谷 民明(東京大学名誉教授)
放送担当講師名:米谷 民明(東京大学名誉教授)

第5回 量子力学の枠組みと展開Ⅱ


角運動量量子力学を学んだ後、電磁場中の荷電粒子を取り扱う例として、水素原子の量子力学ゼーマン効果、アハロノフ・ボーム効果について述べる。続いてスピンと磁気能率に進む。

【キーワード】
軌道角運動量、球面調和関数、水素原子、ゼーマン効果、スピン

執筆担当講師名:米谷 民明(東京大学名誉教授)
放送担当講師名:米谷 民明(東京大学名誉教授)

第6回 量子力学の枠組みと展開Ⅲ


対称性の現れ方とその取り扱いを具体例で調べた後、さらなる発展として、光子の量子力学、量子統計とボース粒子、フェルミ粒子、およびその定式化としての粒子の生成消滅演算子による表示の初歩に進む。

【キーワード】
対称性、保存則、縮退、光子、ボース粒子、フェルミ粒子

執筆担当講師名:米谷 民明(東京大学名誉教授)
放送担当講師名:米谷 民明(東京大学名誉教授)

第7回 量子状態の遷移とダイナミクス


2状態系を題材として「状態の混じり合い」、「状態間の遷移ダイナミクス」といった量子力学特有の効果を味わって見る。「散乱問題」にも触れる。

【キーワード】
2状態系の量子論、遷移とダイナミクス散乱問題

執筆担当講師名:岸根 順一郎(放送大学教授)
放送担当講師名:岸根 順一郎(放送大学教授)

第8回 多粒子系の状態


この宇宙に存在するすべての電子は互いに区別できない。これは量子力学特有の「粒子の置換対称性」の帰結である。ここでは、置換対称性を考慮した量子状態の記述法を学ぶ。

【キーワード】
置換対称性、自由電子ガス、原子の構造、同種粒子の散乱

執筆担当講師名:岸根 順一郎(放送大学教授)
放送担当講師名:岸根 順一郎(放送大学教授)

第9回 熱力学から統計力学


膨大な数の粒子からなるマクロな体系の状態を記述する論理として、熱力学と統計力学がある。ここでは、熱力学のエッセンスを復習したのち、エントロピーの概念を介して微視的な自由度の情報がマクロな状態の自由度にどうつながるかを学ぶ。

【キーワード】
ミクロとマクロ、熱力学的エントロピー、ミクロカノニカルアンサンブル、ゴム弾性、アインシュタイン模型

執筆担当講師名:岸根 順一郎(放送大学教授)
放送担当講師名:岸根 順一郎(放送大学教授)

第10回 カノニカル分布とその応用


ギブスによって導入されたカノニカル分布の方法では、系の温度を一定に保つよう束縛を課し、エネルギーに幅を持たせたサンプリングを行うことで最も確からしいエネルギーの値を抽出する統計分布を探る。この結果、系の熱力学量は分配関数から直接導き出すことができる。

【キーワード】
カノニカル分布、グランドカノニカル分布

執筆担当講師名:岸根 順一郎(放送大学教授)
放送担当講師名:岸根 順一郎(放送大学教授)

第11回 量子統計の初歩


マクロ系の量子状態の意味を明らかにし、エントロピー量子力学的意味を探る。ついで量子統計を記述する分布関数を導く。

【キーワード】
マクロ系の量子状態、量子統計と分配関数

執筆担当講師名:岸根 順一郎(放送大学教授)
放送担当講師名:岸根 順一郎(放送大学教授)

第12回 量子統計の応用


ボーズ粒子とフェルミ粒子は、それぞれの量子統計性を反映したマクロ挙動を示す。個別粒子の単純な集積としては捉えきれない多様な量子統計挙動は、物質の多様性の起源を理解する重要な手がかりである。ここでは、分布関数の性質を詳しく検討することでこの問題を探る。

【キーワード】
古典統計と量子統計、熱的ド.ブロイ波長、ボーズ・アインシュタイン凝縮フェルミ気体と金属電子

執筆担当講師名:岸根 順一郎(放送大学教授)
放送担当講師名:岸根 順一郎(放送大学教授)

第13回 量子力学特殊相対性理論


相対論的量子力学の考え方の初歩を説明する。スピン0粒子を量子場として扱う方法から始めて、スピン1/2粒子の場の方程式であるディラック方程式に進む。

【キーワード】
クライン・ゴルドン方程式、粒子と反粒子ディラック方程式、スピン軌道相互作用

担当講師:米谷 民明(東京大学名誉教授)