中国国営メディアは、コロナウイルスの研究者として注目を集める武漢ウイルス研究所の研究員のインタビューを伝え、この中で研究員は新型コロナウイルスの情報は速やかに国際機関に提供したと述べ、責任を果たしてきたとする考えを強調しました。中国としてはウイルスが研究所から広がった疑いがあるとする見方を打ち消すねらいがあるとみられます。
中国科学院武漢ウイルス研究所の石正麗研究員は25日、配信されたインタビューの中で「1月12日には、WHO=世界保健機関にウイルスの遺伝子情報を提供した」と述べ、国際社会に速やかに情報を伝えるなど研究機関としての責任を果たしてきたとする考えを強調しました。
そのうえで「人類が新たな感染症の大流行を防ぎたいのなら、野生動物が持つ未知のウイルスを研究する必要がある」と述べました。
一方でウイルスは研究所から広がった疑いがあるとアメリカが指摘していることについての発言はありませんでした。
石研究員は、海外のメディアにコウモリのコロナウイルスに詳しい研究者として「バット・ウーマン」と紹介されているほか、中国では一時、資料を持って失踪したという情報が広まるなど注目を集めています。
中国国営メディアは、今月23日にも研究所からウイルスが広がったとする見方について「全くのでっちあげだ」と否定する、この研究所の王延軼所長のインタビューを伝えたばかりで、中国としては一連のインタビューを通じてこうした見方を打ち消すねらいがあるとみられます。