国内のスマートフォン市場に異変が出始めている。
値頃感を売りに販売を伸ばしてきた中国・華為技術(ファーウェイ)製品が、米国の輸出制限を受けて急減。
日本で人気の米アップル「iPhone(アイフォーン)」も、通信契約を条件に端末代金を割り引く手法が秋に禁じられることで落ち込みが予想されるからだ。
華為の2018年度の出荷台数は、MM総研によると188万台。
上位陣が軒並み前年割れする中、前年度より6割増え、シェアも7位から5位に上がった。NTTドコモなど携帯大手3社の期待も大きく、今夏モデルにそろって新製品「P30」シリーズを投入する予定だった。
ところが、夏商戦が始まる直前の5月15日に米国の輸出制限が発表され、目算が狂った。
3社とも発売延期や予約受け付けの停止に追い込まれた。
華為は、販売中の端末にアフターサービスなどへの影響はないとして「安心して買ってほしい」と呼びかけたが、消費者の疑念はぬぐいきれなかった。
調査会社BCNによると、米国が輸出制限を発表した15日に国内の大手家電量販店で売れたスマホのうち、華為のシェアは15・3%とアップルに次ぐ2位だったが、22日には5・0%と3分の1に急落。
一方、22日のアップルは46・3%と1週間前から8・4ポイント伸ばした。シャープやソニーは微減で、韓国・サムスン電子は微増だった。
BCNの道越一郎アナリストは「カメラの性能が優れた華為製品を買おうとした人が、iPhoneに流れた」と分析する。
「華為は価格面でも評価されているため、制裁が長引けば他の低価格スマホが受け皿になる可能性もある」という。
しかし、iPhoneにも逆風が吹く。秋の新機種投入が、スマホ料金制度の見直しと重なるからだ。
長期の通信契約を条件に端末代金を割り引く手法が禁じられるため、端末価格が秋から値上がりすると見込まれる。
iPhoneを中心にした高価格帯スマホの販売が鈍り、同じスマホを長く使うようになると予想される。
18年度に3060万台だったスマホ出荷台数は今後、数年間は300万台ほど少ない水準に落ち込む見通しだ。