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つれづれなるままに日暮らし

西へ向かった紙 751年 タラスの戦い

西へ向かった紙
751年、中国の唐とサラセン王国の間で、戦争がおこります。(タラスの戦い
この戦争に唐は敗退して、多くの将兵が捕虜になります。この中に腕のよい製紙技術者が含まれていて、サラセン軍により、紙漉きを強いられます。これが中国以西へ、紙が伝わった始まりとされています。こうして、757年に月桂樹や桑などを使った「サマルカンド紙」の名が、ペルシャやスペインにまで知れわたると、ペルシャ王は、唐から正式に製紙技術者をバグダッドへ招き、紙の生産を開始します。さらにアラビア東海岸、シリアのダマスカスにも製紙工場が建設されます。
西暦900年頃、パピルスの発祥地であるエジプトに製紙技術が伝わります。10世紀のなかばには、紙はパピルスに使われるようになります。
1040年、アフリカのリビアへ。1100年モロッコへと到達します。1189年、製紙はフランスのエローへと伝わります。十字軍によってヨーロッパへ持ち込まれた紙が、初めてヨーロッパで生産できる様になったのです。

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紙前史
紙(paper)の語源としても知られるパピルスは、BC3000年代からAD1000年まで古代エジプト文明において書写材料として発展し、使用されました。ナイル川流域のカヤツリグサ科の水草パピルスの茎から皮をはぎ、茎の中心部にある髄(芯)を薄く切ったものを材料としました。乾かして長さを揃え、ふたたび水に浸して縦方向と横方向に重ね置き、プレスして脱水したものに、文学、科学、歴史などさまざまな文化が書き記されました。折り曲げには弱いものの軽くて丈夫なパピルスは、つなぎ合わて巻物状にされ、紀元10世紀頃、紙が普及するまで、エジプトを中心に使用されていました。
また、小アジア(現トルコ)からヨーロッパに至る地域では、紀元前2世紀頃に発明された羊皮紙(パーチメント)が書写材料として普及しました。羊、山羊、子牛などの皮を、不純物を取り除いてよく洗い、引き伸ばしながら表面をなめらかにした羊皮紙は、折り曲げに強かったため冊子状に綴じることができました。丈夫で美しく重用されましたが、高価なため、紙の伝播とともに使用されなくなっていきます。  

紙の発明
発見されている最古の「紙」は、中国甘粛省天水市の古墓で発掘された地図の描かれた麻の紙で、前漢文帝・景帝(在位紀元前189-141)ものと推定され、放馬灘紙(ほうばたんし)と呼ばれています。中国の歴史書後漢書」には、宮廷の用度品の長官、蔡倫が西暦105年に後漢の皇帝であった和帝に紙を献上したと記されていることから、蔡倫が紙の発明者(=紙祖)とされていましたが、実際にはその二百数十年前には紙がつくられており、蔡倫は紙の製造法を確立した功労者であったと考えられています。
蔡倫の時代の紙は、麻布、麻のぼろ、樹皮、漁網を材料にしたと記されており、これは現在の紙の製造法と根幹では変わりません。切り刻んだ材料(麻のぼろや樹皮)を洗い、灰汁で煮て繊維を取り出してから臼でひき、ふたたび水の中で繊維分散させ、枠に張った網(簀)で梳きます。網の上に薄く均一に残った繊維を、枠ごと乾燥させてはがし、紙としました。その後、紙の材料や製造法は改良を重ねられながら、絹の伝播(シルクロード)と同様に、西洋へと伝えられていきます。 

紙の発展
紙の原料は、生産が始まった頃の中国では大麻や苧麻などの麻の繊維が用いられました。一方、西洋では、亜麻が主な製紙原料でした。中国で紀元前に発明された紙の製造法は、8世紀頃にアラビアに、そして10世紀頃にはエジプトでパピルスに代わって普及します。12世紀には地中海を経由して製紙技術がヨーロッパに伝わり、製紙工場がスペインやフランスなど各地につくられました。15世紀にはヨーロッパ全土に広がり、アメリカでは1690年に初めてフィラデルフィアに製紙工場がつくられます。
この頃まで、製紙は手漉きで行われていました。ヨーロッパでは衣料に使用されていた木綿のくず(綿ぼろ)が主要な原料になっていましたが、1450年頃の活版印刷の発明とともに、紙の需要が増大します。ぼろ原料を製紙原料にするために叩く工程(叩解)が必要ですが、西洋では水車や風車の力で叩解を行う仕組み(スタンパー)が発達し、その後、17世紀には筒状の刃を回転させて効率的に叩解を行うビーターと呼ばれる叩解機がオランダで発明されました。
抄紙(紙漉き)の連続的抄紙化は、18世紀末の長網抄紙機の発明から始まりました。19世紀に入って、ようやく木材を粉砕したパルプや木材を化学処理して作られるパルプが原料に用いられるようになり、抄紙機はより高度な改良が重ねられ、高品質な紙の大量生産が可能になっていきます。

紙の歴史ミニトピック

世界

BC176−141中国で最古の紙・放馬灘紙がつくられる
(出土は1986年)
AD105中国で蔡倫が蔡候紙を発明 

紙の歴史ミニトピック

世界

BC176−141中国で最古の紙・放馬灘紙がつくられる
(出土は1986年)
AD105中国で蔡倫が蔡候紙を発明
751年 タラスの戦い
793ペルシャで製紙工場ができる
900エジプトで製紙工場ができる
1276イタリアで製紙工場ができる
1282イタリアでウォーターマーク発明
1445ドイツでグーテンベルグ活版印刷発明
1670頃オランダでホランダービーター発明
1798フランスでルイ・ロベールが抄紙機を発明
1809イギリスでディキンソンが円網抄紙機を発明
1840ドイツでケラーが砕木パルプを発明
1856イギリスでハーレイが段ボールを発明
1857アメリカでティルマンが亜硫酸パルプ
(Ca法)を発明
1884ドイツでダールがクラフトパルプを発明
1926アメリカでセミケミカルパルプ法が実用化
1980年代中性紙への関心が高まる
2008紙の生産量(世界)
1位 アメリカ/2位 中国/3位 日本

日本

610高句麗から製紙法が伝来
806紙屋院(製紙工場)が建設
954-974蜻蛉日記陸奥紙の記載
1338奉書紙(越前)が保護を受ける
室町時代襖障子・明かり障子・雨傘用紙の需要増
1613日本使節団がヨーロッパを訪問、
日本の良質な鼻紙に現地の人々が驚く
1798紙漉重宝記(和紙製紙技術書)が出版
1874有恒社で機械抄き紙(洋紙)の製造を開始
1925クラフトパルプを製造
1964海外から木材チップ輸入