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次世代鉄道の切り札?「水素技術」開発競争が激化 | 海外 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

 

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温暖化抑制のために二酸化炭素排出量を削減する、いわゆる脱炭素へ向けた動きが世界的に高まりを見せている。中でも、水素を燃料とした燃料電池や水素燃焼エンジンは化石燃料に代わる切り札として注目を集め、すでに自動車メーカー各社から燃料電池車が市販されている。

鉄道業界においても水素燃料への関心が高まっている。日本ではJR東日本日立製作所トヨタ自動車が連携し、燃料電池と蓄電池を組み合わせたハイブリッド試験車の開発に取り組む。日立の持つハイブリッド駆動システムとトヨタ燃料電池技術の組み合わせによって水素をエネルギー源とする車両を実現し、鉄道の環境優位性をさらに向上させるとしている。

欧州鉄道向けにトヨタが技術提供
そのトヨタは2021年4月、ヨーロッパ大陸の事業統括会社であるトヨタ・モーター・ヨーロッパ(TME/ベルギー)を通じて、EUにおける鉄道向け燃料電池ハイブリッド電源開発プロジェクト「FCH2RAIL」へ、水素燃料電池車MIRAIに搭載されている技術を応用した、フューエルセル・モジュール(水素燃料電池パッケージ)を提供すると発表した。

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FCH2RAILは多目的燃料電池ハイブリッド・パワーパック(FCHPP)の開発、構築、テスト、実証試験などを行うプロジェクトで、スペインの鉄道車両メーカーCAFを中心に、複数のメーカーが参加している。システムは、本線用車両はもちろんのこと、入換用機関車や重量貨物列車へ使用するために重連でも使用でき、新車だけでなく既存の車両を改造して搭載することも可能なものを目標としている。

ヨーロッパでは化石燃料への依存を減らすため、非電化区間の電化促進と並行して、代替燃料を使用する新しい動力源の開発を進めようとしている。ヨーロッパ地域において、国内主要路線が100%電化されているのはスイスだけで、他国には多くの非電化路線が残っており、これらの路線を走る車両の大半は化石燃料を使用するディーゼルカーなどだ。

化石燃料依存からの脱却にはスイスと同じように電化促進が望ましく、実際に各国で非電化路線の電化工事が進んではいるものの、多額の費用と長期間の工事を必要とする。水素燃料や蓄電池といった技術は、既存のシステムを大きく変えることなく、手っ取り早く温室効果ガスの排出抑制を達成できる手段として注目を集めている。

電化工事中の英国の幹線(グレートウェスタン鉄道、現在は完成)。電化のため、多くのトンネルや橋を改修する大工事となった(筆者撮影)
FCH2RAILプロジェクトにおいては、電化区間では架線からの電気を動力源として使用し、非電化区間燃料電池ハイブリッドシステムへ切り替えることで、エネルギー消費を最小限に抑制したバイモード仕様となる。つまり、電車としてのシステムを残しつつ、非電化区間では架線から得られる電気以外を動力源として運転する。新車だけではなく、既存の電車やディーゼルカーを直接改造することで、大幅な排気ガス抑制効果が期待できると注目されている。

トヨタは、燃料電池自動車MIRAIや燃料電池バスSORAで培った技術があり、前述のとおりJR東日本日立製作所と共同で鉄道車両についても開発を進めている。この技術は海外でも注目を集め、ポルトガルのバス製造会社カエタノ・バスの水素燃料バスの商用化に協力。現在は同社へ出資して提携を強化している。今回のプロジェクトへの参加は、トヨタの技術が世界に認められた証と言えるだろう。

開発を急ぐ欧州メーカー各社
ほかのメーカーも水素燃料を活用する技術の開発を急いでいる。フランスのアルストムは早くから水素燃料車両の開発に取り組んでおり、2016年開催の国際鉄道技術見本市・イノトランスでは早くも燃料電池による動力を搭載した車両「コラディア(Coradia)iLINT」を発表。現在はベースとなる車両を「コラディア・メリディアン」へ変更したうえで、フランス国鉄SNCF)との契約を結んだ。

煙を吐くディーゼル機関車(フランス国鉄)。排気ガスがない車両の開発は鉄道会社にとっての悲願だ(筆者撮影)
ドイツのシーメンスも、2021年7月に南ドイツを拠点とする運行会社のバイエルン地域鉄道へ、近郊型車両「ミレオ(Mireo)」シリーズをベースにした燃料電池車両を試験導入すると発表している。この新型車両はバッテリーと組み合わせたハイブリッド仕様で、最大800kmの航続距離を実現するという。水素燃料車両の導入に関しては、燃料供給ステーションの建設までセットとなることから、メーカーにとっては大きなビジネスチャンスとなる点も、各社が急ピッチで開発を進める理由だ。

英国の鉄道産業協会(the Railway Industry Association/RIA) のテクニカルディレクターであるデビッド・クラーク氏は、国内の環境に配慮した雇用や投資を支援するため、また同国内の鉄道を2050年までに完全に脱炭素化するために、政府はできるだけ早く水素をエネルギー源とする車両を発注する必要があると述べた。

英国にはまだ多くの非電化区間が残る。水素燃料車両は、現行のディーゼル車両を置き換える切り札として期待される(筆者撮影)
英国の鉄道インフラを統括するネットワーク・レール社は、政府目標である「2050年までのゼロ・エミッション化」を達成させるためには、最大で1300kmにおよぶ鉄道路線に水素燃料車両を導入する必要があるとしている。

一方、RIAは「鉄道脱炭素キャンペーン21」において、政府の掲げる鉄道網の脱炭素化を成功させるためには、2021年の今すぐにも、鉄道路線の電化と水素燃料電池および蓄電池車両の製造を開始する必要があると主張している。

余剰車両を使った開発も進む
脱炭素へ向けた戦略では、非電化区間の電化が最善の解決策ではあるが、前述のとおり電化工事には架線柱の設置や変電所の整備のみならず、架線を通すためにトンネルや陸橋といった線路上空の構造物も改修する必要がある。とりわけ蒸気機関車時代の古い構造物が多い英国では、電化に費やす経費と時間は膨大となる。水素燃料や蓄電池の活用は、この問題を解決する切り札として期待されている。

燃料電池車両開発のため余剰車が供出された319系電車。非電化区間直通用として開発が急がれる(筆者撮影)
英国では、鉄道車両リース会社のポーターブルックが、余剰となった旧型電車319系車両を改造した「ハイドロフレックス(HydroFLEX)」を筆頭に、複数の燃料電池車両を試作しているが、現在のところ水素専用車両の発注はまだない。一方、アルストムは同様に余剰となった321系車両を使って「600系」(通称ブリーズ)と称する3両編成の試作型燃料電池車両を製作中で、近いうちに契約をまとめたいとしている。

脱炭素が次世代のキーワードとなる中、優れた水素燃料技術の開発が、今後のシェアを左右する可能性もあることから、これから各メーカーはさらに開発へと注力することになるだろう。数年後には、ディーゼル機関に代わる技術として、非電化区間の主流となっているかもしれない。
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