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NAGがスクエア・キロメートル・アレイ電波望遠鏡のためのグリッディングアルゴリズムを改良

NAGがスクエア・キロメートル・アレイ電波望遠鏡のためのグリッディングアルゴリズムを改良 [2018年4月掲載] (* , Web)

 NAGはオックスフォード大学と協力して、畳み込みグリッディングアルゴリズムの性能を改善する方法を検討した結果、NVIDIA® P100上でより高速に実行されるこが示されました

 2017年11月10日:アルゴリズム、ソフトウェア、HPCの専門家であるNAG(Numerical Algorithms Group)は、オックスフォード大学e-Research CenterScientific Computing Groupから、 Intel® Knights Landing(Xeon Phi™)NVIDIA® P100 GPUをターゲットに、フリンジ・ビジビリティを処理するための電波天文学で使用される畳み込みグリッディングアルゴリズムの調査依頼を受けました。調査の間にNAGの専門家は、模擬的なスクエア・キロメーター・アレイ(SKA)データを使用し、アルゴリズム改良における特定のハードウェア選択による潜在的な違いを調査しました。

スクエア・キロメーター・アレイ(SKA)電波望遠鏡は、2020年までデータ収集を開始する予定はありませんが、プロジェクトが生み出す膨大な量のデータを処理するために、必要となるソフトウェアを設計し実装する作業が既に進行中です。そこで、NAGはアルゴリズムについて検証することになりました。

 NAGはSKAプロジェクトのための大規模データセットの信号処理コード最適化に関する初期的な性能比較を行い、このテーマに関する技術的なポスターをデンバーでのSupercomputing Trade Show and Conference (SC17)にて公開しました。

研究成果の概要

 NAGは、調査した畳み込みグリッディングアルゴリズムIntel® Knights LandingとNVIDIA® P100 GPUに完全には適していないことを見つけました。これは、データの可視性の空間的分布がランダムなメモリアクセスパターンとキャッシュされたデータ再利用をもたらし、グリッドの並列更新の際に競合条件が存在するためです。さらに、畳み込みステップでの複雑なメモリアクセスパターンが、効率的なベクトル化を阻害しています。

 このアルゴリズムのチューニングのために、NAGメンバーは、計算ドメインをタイルに分解してデータの再利用を促進し、コンボリューションデータへの連続したアクセスを可能にする手法を実装しました。最初の性能検証結果は、このタイリングがIntel® Knights Landingのパフォーマンスを大きく改善することを示しています。これはグリッドを更新するときに低速なアトミック処理を用いないためです。このコードは、NVIDIA® P100上でより高速に動作することが示されました。部分的にはGPUのアトミック処理性能に起因するものですが、頻繁にアクセスされるデータを格納するために多数のレジスタが利用できるためでもあります。

KNLとGPUで動作する電波天文学アプリケーション向けの並列畳み込みグリッディング
https://www.nag.co.uk/market/parallel-convolution-gridding-radio-astronomy.pdf

SKAプロジェクトについては以下をご覧ください:
https://skatelescope.org/
https://en.wikipedia.org/wiki/Square_Kilometre_Array

オックスフォード大学e-Research Centerについては以下をご覧ください:
http://www.oerc.ox.ac.uk/

SKA - Japan SKA Consortium
ska-jp.org/ska.html
SKA (Square Kilometer Array, 一平方キロメートル電波干渉計)は国際的組織によって建設計画が進められている巨大な電波干渉計である(図1)。アンテナ2000台から3000台で構成され、総開口面積が一平方キロメートル台となることから、SKAと呼ばれて ...

SKA (Square Kilometer Array, 一平方キロメートル電波干渉計)は国際的組織によって建設計画が進められている巨大な電波干渉計である(図1)。
アンテナ2000台から3000台で構成され、総開口面積が一平方キロメートル台となることから、SKAと呼ばれている。観測周波数0.1GHzから25GHz帯というセンチ波メートル波をカバーし、現在日・米・欧で建設が進められているミリ波サブミリ波干渉計ALMAとは完全に相補的な役割を担う。
周波数帯は大きく3つに分けられ、
(i) 0.1 GHz-1GHzは低周波SKAと呼ばれ開口型アンテナ(図1中央から下にかけて描かれているタイプのアンテナ)を用い、
(ii) 1GHz-10GHzは中間周波SKAと呼ばれパラボラアンテナタイプ(図1中で上部に描かれているタイプのアンテナ)を用い、
(iii) 10GHz以上は高周波SKAと呼ばれ(ii)と同様にパラボラアンテナを用いる。基線長は最大3000kmと考えられており、VLBI並みの高空間分解能観測が実現される。
SKAの特徴は上記の長波長電波の観測のほか、 (i) 高感度、(ii) 広視野、(iii) 広帯域、(iv) 高分解能、の4点である。
建設地は大気が安定していて人口電波が少なく、広大な土地が確保できるという観点から、オーストラリアと南アフリカが最終候補地となっている。
本計画は国際的な組織で推進が図られており、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、南アフリカ、カナダ、中国が、それぞれ大規模な予算を投入して参画している。
またインドやニュージーランド等も関連する計画を進め、韓国も関連プロジェクトに着手し始めるなど、国際組織は現在も再編成をしながら計画が進んでいる。

日本SKAコンソーシャム(2018/4 - ) - Japan SKA Consortium
ska-jp.org/ska-jp.html
日本SKAコンソーシャム(2018/4 - ) .... 研究種目:研究集会助成研究課題名:日本SKA合同サイエンス会議「宇宙磁場:銀河系内現象から大規模構造へ」 期間:H28 3日間 申請代表者氏名:町田真美.