中国皇帝の権力の秘密に迫るシリーズ第一回。最高の名君とされる清・乾隆帝。少数民族・満州族の出身だが、ウイグルを支配下に置くなど最大の領土を獲得、見事な統治で繁栄をもたらした。その理由を解き明かす鍵となるのは、体からかぐわしい香りを漂わせたという謎の美女香妃とのロマンス。考古学の新発見から浮かぶのは、イスラムや漢民族の反乱など多民族統治の難しさ。しかし乾隆帝にはそれを乗り越える壮大な理想があった。
「血塗られた天子」と呼ばれる明・永楽帝。力で皇位を奪い、1万人を超える敵対者を粛清。残虐な皇帝とされるが、悪評の中でも強固な権力を確立、万里の長城、紫禁城、天壇を建設するなど明の最盛期を実現した。その権力の秘密を解く鍵は鄭和の大航海にあった。鄭和がもたらした美しい青花、そして宦官(かんがん)の秘密組織とは?俳優・濱田岳が紫禁城や海外メディア初公開の万里の長城を訪ね、作家・浅田次郎が時代を読み解く。
日本では国宝「桃鳩図」の作者として憧れの対象となった北宋の皇帝・徽宗。美術史に残る傑作を多く残したが、中国での評価は全く異なっている。水滸伝の英雄たちが世直しを求めた時代の皇帝が徽宗。その時代に北宋は滅亡。徽宗は美におぼれて政治をおろそかにした「亡国の天子」として蔑まれてきた。だが最近その実像に新しい光が当たりつつある。黄河畔の農村からは、徽宗の救貧対策の痕跡が発見された。濱田岳が謎の実像に迫る。