ゲストは池田理代子さん。24歳で連載を始めた「ベルサイユのばら」は累計1500万部の大ヒット作。その後も数々の名作を描いてきたが、40代半ばで大きな転機を迎える。彼女はいかにしてその試練を乗り越えていったのだろうか。そしてもう一つの夢でもある音楽大学へ入学、声楽家の道に進んだ。現在も声楽と漫画の2つの分野で活躍する池田さんに、あきらめない人生を送る“極意”を聞く。
漫画への道と2つの“差別”
1947年、大阪市に生まれた池田さん。子供の頃から物語の世界に没頭する癖があったといい、鴻上も驚きを隠せない小学生の頃のエピソードを明かした。一時は小説家を夢見たものの、東京教育大学(現・筑波大学)へ入学すると学生運動に没頭するようになる。しかし、共に闘う同志たちの姿をみているうち、池田さんは“ある思い”に駆られて置手紙を残し実家を飛び出してしてしまう。
家出後にお金を稼ぐために始めた「少女漫画」という仕事だったが、当時は漫画への蔑視と女性差別が強かった時代。現在では考えられない“差別”の実態と、池田さんが「とても勉強になった」と語る貸本専門の出版社での“修行”とは。大ヒット劇画家の原点に迫る。
「ベルサイユのばら」制作秘話
アジアやヨーロッパなどでも出版され、世界的に愛されている漫画「ベルサイユのばら」は池田さんが24歳で連載を始めた作品。
驚くべきことにこの「ベルサイユのばら」というタイトルと作品の大まかな設定は、池田さんが高校時代、マリー・アントワネットの伝記を読んだときに出来上がり、いつの日にか何らかの作品にすると、心に決めていたと、その誕生秘話をあかした。
連載開始前、編集部からは「歴史物は売れないから」と反対されていたという。
だが池田さんには「絶対にヒットする」という確信があったという。その理由とは。
そして、登場人物の中でも圧倒的な人気を誇る男装の麗人「オスカル」に池田さんが込めた、ある“思い”とは―
また、名シーンの多い「ベルばら」だが、オスカルとアンドレが結ばれるベッドシーンは、少女漫画では初めてともいわれるシーンだという。
掲載された時、編集部には「不謹慎だ」と多くの苦情電話が寄せられたが、その時、編集長がとった対応には鴻上も納得しきりだった。
さらに、「ベルばら」の大ファンだという、あのアーティストが池田さんの“作家魂”について熱弁。実は池田さんは「ベルばら」の執筆を始め、社会現象となるほどのヒット作となるまで、一度もパリに行った事がなかったというのだった。
初めてパリを訪れた時、そのすべてに衝撃を受けたという池田さんが連載時には気が付かなかったある失敗を明かした。
世代を超えて愛されてきた“少女漫画の金字塔”の魅力に迫る。
「夢のリストアップ」40代での人生の決断
多くの名作を生み出していった池田さんだが、40歳の頃「更年期障害」で身体に不調をきたす。「人生の折り返し地点」に立ったことを痛感した彼女はある方法で、長年の“夢”だった声楽家への道に進むことを決意する。池田さんにとって“夢”をあきらめない人生を歩むための“極意”が明かされる。それは自らの人生をもう一度見つめなおす「夢のリストアップ」という作業だった。自立した人生を歩んできた彼女の強い意志とは。
だがその実現は決して平坦ではなく、決断までには5年の歳月がかかったという。
その後2年間の猛勉強の末、47歳で音楽大学へ入学。池田さんを後押しした“思い”、や年の離れた同級生たちとのキャンパスライフとは―。
さらに、2011年に池田さんが開いたベルサイユ宮殿でのコンサートの貴重な映像も入手。声楽家の他にオペラの演出も手掛ける池田さんの現在の活躍を紹介する。
今年古希を迎える池田さんは、今もう一つの夢の実現を目指しているという。
それは短歌の歌集を出すこと。自身の体験を歌った自作の短歌も披露し、「日本語の美しさ」を伝える助けになりたいとはなした。
番組には「踏み出さす時に踏み出さず、死ぬときに後悔する人生は送りたくない」と話す池田さんの「夢をあきらめない人生の極意」があふれていた。
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池田理代子(劇画家・声楽家)
大学在学中より劇画を描き始め、1972年に連載を開始した『ベルサイユのばら』は社会現象ともいえる大ヒットとなり、今もなお国際的な人気を博する。『オルフェウスの窓』で日本漫画家協会優秀賞受賞。代表作は他に『栄光のナポレオン エロイカ』、『女帝エカテリーナ』、『ベルばらKids』など。
1999年東京音楽大学声楽科を卒業、現在はソプラノ歌手として活動する傍ら、2013年からは『ベルサイユのばら―エピソード編』、2014年には『まんが日本の古典 竹取物語』などを執筆。
2009年、日本においてフランスの歴史や文化を広めた功績に対し、フランス政府よりレジョン・ドヌール勲章を贈られた。
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