講義概要
記号論理学とは、論理を論理式という数式のような記号で表して、厳密なやりかたで処理する方法の体系です。推論、すなわち、ある事態が成り立っている(真である)とき、そこから別の確実に成り立っている事態を導き出したり、また、その推論の正しさを証明したりするのが記号論理学の役割です。記号論理学は、数学をはじめとして、哲学、計算機科学などの基礎となるほか、論文執筆や議論やプレゼンテーションなどのコミュニケーションの基礎として重要です。本科目では、命題論理、一階述語論理などの意味を理解して自然言語と対応付けられるようにし、さらに論理式の計算方法を学びます。
第3回 記号・式・命題
担当講師:加藤 浩(放送大学教授)
回 テーマ 内容 執筆担当講師名 (所属・職名)、放送担当講師名 (所属・職名)
1 論理学とは何か 論理学は推論について研究する学問であり、日常生活や学問において重要な役割をはたしている。
【キーワード】
推論、前提、結論、命題、議論、論争、常識、学問、科学、経験 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授) 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授)
加藤 浩
(放送大学教授)
ゲスト:
久木田 水生
(京都大学研究員)
大西 琢朗
(専修大学兼任講師)
2 記号を使う 推論を厳密に表現し、検討するために記号を使う。
【キーワード】
自然言語、形式言語、普遍言語 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授) 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授)
3 記号・式・命題 一階述語言語の文法を導入し、式や代入や閉じた式を定義する。
【キーワード】
記号、式、代入、閉じた式、命題、構文論 加藤 浩 (放送大学教授)、加藤 浩 (放送大学教授)
4 命題の意味 一階述語言語の式の真偽と、それにもとづいて、一階述語言語の意味論を定義し、理論とモデルの概念について解説する。
【キーワード】
意味論、モデル、解釈、真偽 加藤 浩
(放送大学教授) 加藤 浩
(放送大学教授)
5 推論の妥当性を厳密に定義する 前提となる命題のすべてが同時に真であるとき、かならず帰結の命題も真であるならば、その推論は妥当であることを知る。しかしそもそも妥当な推論とは何であるか、それはどのように確かめられるのかを理解する。
【キーワード】
妥当性、論理的同値 加藤 浩
(放送大学教授) 加藤 浩
(放送大学教授)
6 タブローによる妥当性のチェック(1) 推論の妥当性をチェックするための手続きであるタブローの方法を導入する。
【キーワード】
妥当性、タブロー 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授) 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授)
7 タブローによる妥当性のチェック(2) 量化記号や同一性述語を含んだ推論をチェックするタブローについて解説する。
【キーワード】
タブロー、量化、同一性述語 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授) 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授)
8 多重量化 ヨxヨyWxyや∀yヨxWxyのように量化記号が多重に使われているような命題を取り上げて検討する。量化記号を組み合わせることで、日本語としては意味の違いがわかりにくい命題が、一階述語論理では命題の形式的な違いとして明確に区別できる。
【キーワード】
多重量化、全称量化記号、存在量化記号、量化の順番、スコープ、翻訳 加藤 浩
(放送大学教授) 加藤 浩
(放送大学教授)
9 日本語から形式言語への翻訳 日本語で書かれた命題を一階述語言語に翻訳する方法を学ぶ。日本語命題はその意味するところをモデルにあてはめて表現し、そこから命題に翻訳する。その際に陥りやすい誤りや注意すべき点を解説する。
【キーワード】
翻訳、自然言語、集合、個体 加藤 浩
(放送大学教授) 加藤 浩
(放送大学教授)
10 数を数える命題 「少なくともn個ある」「ちょうどn個ある」「多くともn個であるJなど個体の数量を表す命題について学ぶ。一階述語言語には数字を一切用いないで、自然数の個体の存在について述べる記述能力がある。
【キーワード】
全称量化、存在量化、同一性、翻訳 加藤 浩
(放送大学教授) 加藤 浩
(放送大学教授)
11 日本語の推論の妥当性(1) 日本語で表現された推論を形式言語に置き換え、その妥当性をタブローによってチェックする。
【キーワード】
タブロー、日本語での推論、妥当な推論のパターン 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授) 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授)
12 日本語の推論の妥当性(2) 日本語の推論の妥当性をチェックする。とくに推論の際に暗黙のうちに前提される命題を特定する練習をする。
【キーワード】
タブロー、隠された前提 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授) 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授)
13 日本語の推論の妥当性(3) 誤りやすい推論、論証について学び、それをタブローによってチェックする練習をする。
【キーワード】
タブロー、誤謬 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授) 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授)
14 タブローの方法の健全性と完全性 論理体系の健全性、完全性、決定可能性の概念について解説する。
【キーワード】
健全性、完全性、決定不可能性 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授) 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授)
15 役立つ記号論理学 これまで学んだ範囲を越えて、記号論理学とその背景となる考え方がどのように活用されてきたか、また、どのように活用することができるかということについて検討する。数学の証明、コンピュータ科学の発達、科学的理論の構造、批判的思考という4つの側面がもつ背景と課題を学ぶ。
【キーワード】
証明、不可能性、コンピュータ、人工知能、観察、理論、反証、検証、論理と修辞、合成性の原則、曖昧さ、隠された前提 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授) 土屋 俊
(大学評価・学位授与機構教授)
加藤 浩
(放送大学教授)
ゲスト:
久木田 水生
(京都大学研究員)
大西 琢朗
(専修大学兼任講師)
「人文・人間科学系」「社会科学系」「自然科学系」「生命・医学系」:学術系列
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- 講義録 2013/04/18
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- 工学部情報知能工学科 3年 「数理論理学」
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- 大学院システム情報学研究科博士課程前期 2 年 「数理論理学特論」
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