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つれづれなるままに日暮らし

国内最大不法投棄に揺れた豊島の終わらない浄化

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豊島の西端にある産廃不法投棄場所の跡地。産廃は全て搬出され、広範囲に土が露わになっている=令和3年12月23日午前、香川県土庄町(本社ヘリから、竹川禎一郎撮影)

日本最大級の産業廃棄物不法投棄事件の舞台となった瀬戸内海の豊島(てしま)(香川県土庄町)。県と住民との間で成立した公害調停から20年以上が経過したが、島を浄化させる取り組みはいまだに継続中だ。それでも、島内にあった産廃を運び出し、汚染した土壌を取り除く作業は昨年までに完了。今月中にも、島内の有害汚染水が海に流れ出ることを防ぐために設置していた「遮水壁」を外す作業に着手する段階まできた。作業を控えた現場を取材した。 

産廃問題と40年以上向き合ってきた廃棄物対策豊島住民会議の安岐正三事務局長。

今月にも遮水壁撤去着手

小豆島の西に位置する面積14平方キロの豊島。不法投棄の現場は島西端の海岸近くにある20ヘクタール超の土砂採掘跡で、撤去された廃棄物や汚染土壌は令和元年7月までに計約91万3千トンに上った。4年度までにつぎ込まれる公費は計約820億円と見込まれる。

撤去後も高度排水処理施設で汚染地下水の浄化が続けられ、昨年7月、専門家の検討会が全9区域・区画で、海に流せる「排水基準」クリアと認定した。局所的に基準を上回る「ホットスポット」が3カ所あるが、県は化学的処理で対処する方針だ。

業者が築いた堰堤(えんてい)の内陸側にある長さ約360メートルの遮水壁は、3月までに撤去の予定。9月までには汚染水の化学的処理を終え、整地に移る。産廃特措法による国の財政支援は令和5年3月が期限で、県はそれまでに整地などの大がかりな工事を終了させたい考えだ。

その後は地下水の監視モニタリングを続け、雨水などによる浄化で排水基準よりはるかに厳しい環境基準をクリアすれば、調停の最終合意に基づき現地は島民に引き渡される。

廃棄物対策豊島住民会議幹部の石井亨さんは「世間はまだ続いているのかと思うかもしれないが、ゴールはまだ目に見えない。それでも排水基準クリアの所まできた。時間も費用もはるかにかかったが、ようやくここまで来た」。事務局長の安岐正三さんは「事件は全然終わっていない。土地の引き渡しが最初の節目。たとえ100年かかっても後の世代がやり遂げてほしい」と強調した。