米半導体メーカーのオン・セミコンダクターが設計する車載用イメージセンサーが、最終的に韓国・現代自動車の新型電気自動車(EV)「IONIQ5」に供給
オン社の設計したイメージセンサーは、イタリアの工場でシリコンウエハーに集積回路を焼き付ける作業から製造が始まる。焼き付けられたウエハーは台湾に送られ、パッケージングと検査が行われてから、シンガポールで保管される。
中国の工場でカメラ部品に組み込まれ、韓国にある現代自の部品サプライヤーに送られて、ようやく現代自のIONIQ5生産工場に納入される。
<米政府投資の行き先>
バイデン氏は12日、ワシントンで半導体業界幹部らと世界的な半導体不足問題をオンラインで協議した。これに先立ち、総額2兆ドルのインフラ投資計画の一環で、半導体製造・研究開発支援資金として500億ドルを提案している。
米インテルや韓国サムスン電子、台湾積体電路製造(TSMC)による米国での最先端半導体製造工場の多額の建設計画に振り向けられる公算が大きい。
複数の業界幹部は、より幅広いサプライチェーン(調達・供給網)に対応することが欠かせず、バイデン政権はこうした供給網のどの部分に支援金を充当するべきか、という難しい選択に直面すると警告する。
世界の半導体生産能力のうち、米国が占める割合は約12%。1990年の37%から大きく低下した。業界データによると、生産能力の8割強はアジアに集中している。
<多様な工程>
工程は、1000段階を超えることがある。その間に国境を70回越えたりするし、数々の専門的な企業も関与する。そうした企業のほとんどはアジアにあり、総じて関係者以外には知られていない会社だ。
半導体製造は、プレートサイズのシリコン製円盤、つまりウエハーとともに始まる。製造工場ではウエハーに集積回路パターンを焼き付け、複雑な化学処理を通じて表面上を加工していく。
パッケージングで、供給網が直面する幾つかの課題を浮き彫りにする段階と言える。出荷されたウエハーには数百、場合によっては数千もの小さな半導体が張り付いており、これを個々の半導体に切り分け(ダイシング)し、パッケージ化することが必要になる。
各半導体を「リードフレーム」と呼ばれる薄い金属板に置いて、「はんだ付け」した上で、樹脂で保護するという工程だ。
大手半導体メーカーは何十年も前に台湾やマレーシア、フィリピン、中国などの外注先に委託化した。このパッケージング工程にも供給網が関わっている。