https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/000577618.pdf
医療機関などで健康保険証としてマイナンバーカードを利用するプレ運用が2021年3月4日に始まった。政府は同年3月末に医療機関など全施設の6割に関連システムの導入を目標としているが、2月時点で申し込み施設は全施設の3割と目標の半分にとどまり、早くも暗礁に乗り上げつつある。
ベンダーの見積もりが補助金上限額を上回る
健康保険証としてマイナンバーカードを利用できるようにするには、医療機関などが顔認証付きカードリーダーを導入するほか、ネットワーク環境の整備やレセプトコンピューター(レセコン)などのシステム改修も必要だ。医療機関はレセコンを通じて請求のための閉域ネットワークである「オンライン請求ネットワーク」にアクセスし、患者の保険資格を確認する。こうした一連の仕組みを「オンライン資格確認」と呼ぶ。
厚労省は導入が進まない理由の一つとして、システム改修に必要なベンダーの見積もりが過大になっていると指摘する。「パソコンやルーターの購入で77万9400円、設定やセットアップに20万円で合計97万9400円。そこに37万9400円を値引きするとして、60万円という見積もりが診療所に対してあった」(厚労省医療介護連携政策課)。診療所向けの補助金上限額42万9000円を大きく上回る。厚労省は事前のベンダーからのヒアリングをもとに補助金の上限を決めており「標準のパッケージなら、上限額で収まるはずだ」(厚労省医療介護連携政策課)とする。