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つれづれなるままに日暮らし

日本海産長鼻類化石

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日本海産長鼻類化石1)

ウルム氷期 末期 のものであるこ とを示 している. ナ ウマ ンゾ ウは, 現 在 まで の ところ, 約25万 年前か ら1.7万 年 まで 日本列島 に生息 していた こ とが知 られて いる. ウルム氷期 には, 野尻湖 で代表 されるように日本 において ナウマ ンゾウの生息 が確認 されている. したが って, 最 も近 い山陰地域の陸地か ら, これ らのナウ
マ ンゾウが運 ばれた とす るのが 自然である. しか し, 同様 の海域 から採取 されて いるマ ンモス ゾウの標 本が, 山陰地方 の陸域 から供給 されたということが不確 かな ことか ら, これらのナウマ ンゾウの標本 も真 に山陰地域 の陸地か ら供給 された とは断定 で きない. 今後, 資料の増加によって, 標 本形態 の集 団的検討が可能 になることを期
待 したい. 同時に 日本産のナウマ ンゾウの臼歯の変異幅が あ きらか になって きた今 日, 中国大陸 の Palaeoloxodon属の臼歯 との形態的差異について, あ らためて検討す る必要が生 じて きた ように思われる.

日本海産の長鼻類化石のほとんどは, 山陰沖からのものであることがわかる.その位置は, 北緯35度10分から36度10分, 東経131度30分から132度付近である.特に,北緯35度40分, 東経132度付近の大陸棚辺縁部から斜面にかけて多く採集されている.その深度は,100~280mである.このように特定の場所に集中しているのは, 西尾 (1985) が指摘しているよ うに, 標本がマ ツバ ガニ漁等 の最中に引 き上げ られる とい った, 漁場 との 関係 も考 慮す る必 要が ある.
一方, 能登半 島沖 の標本 は, 白山瀬群の265堆 の南西斜面で, 深度430mか ら採集 された (高橋 ほか, 1982).
この標本 は, その採 集深度 が深 い ことか ら, 日本海 の地史 を編 むうえで, しば しば関心 が寄せ られて いる (井尻 ・湊, 1982; 粕野, 1989).陸域 から最 も離れた位置にある標 本 としては, 大和海嶺 か ら採 集 され た標本 が ある. その採 集位置 は, 北緯40度8分, 東経135度40分で大和海嶺の北東部にあたる (高橋ほか,1990). この標本は,最も近い陸地から約300km離れている.