altgolddesu’s blog

つれづれなるままに日暮らし

化学反応論−分子の変化と機能(’17)

Google Web

現在膨大な種類の分子が知られているが、それらの分子に含まれる元素の種類は意外にも少ない。このことはつまり、物質の多様性の起源が化学結合の組み替えにあることを意味する。この結合の組み替えが化学反応である。化学反応の理解を通じて我々は様々な物質を合成して生活を豊かにしてきたし、我々の生命活動自体が複雑な化学反応のネットワークに支えられている。本科目では、化学平衡、反応速度、触媒作用などの化学反応論の一般的な側面を熱・統計力学に基づいて演繹的に導くとともに、化学者が経験的に明らかにしてきた典型的な反応のパターンについて整理し、基礎理論に基づいた体系的な理解を目指す。

授業の目標

1.化学反応の駆動力としての自由エネルギーについて理解する
2.化学反応速度に対する遷移状態理論の概要を理解する
3.典型的な化学反応のパターンに基づいて反応の分類ができるようになる
4.典型的な化学反応についてその反応の原理を理解する

履修上の留意点

エントロピーからはじめる熱力学(’16)」

化学結合論−分子の構造と機能(’17)」を履修済であるか、併せて受講することが望ましい。

第1回 序論:Alchemy to chemistry

人類がいかにして物質変化についての認識を深め、化学 という学問を成立させたかを概観し、化学反応論で議論すべきことの全体像をつかむ。

【キーワード】
火の利用、金属の精錬、錬金術 (*)、機械論的自然観、親和力

第2回 化学平衡と反応の駆動力

化学反応の駆動力の本質が、ギブズ自由エネルギー変化にあることを理解し、反応ギブズエネルギーと平衡定数の関係を導く。また、平衡近傍での系の自発的変化についてのルシャトリエの原理を理解する。

【キーワード】
反応熱、ヘスの法則、自発的変化、平衡条件、ギブズエネルギー、 化学ポテンシャル、反応進行度、ルシャトリエの原理

担当講師:安池 智一(放送大学准教授)